こんな遺言はご存知ですか?(清算型の遺言について)
「自分の死んだ後は、自宅を売って、最後にかかった医療費などの経費を支払い、残りをすべて慈善団体のために寄付したい」
遺産を処分する権限を有する遺言執行者を指定し、その人に委ねれば、実現できます。このような内容の遺言書は清算型の遺言といいます。
清算型の遺言でも、譲る相手、金額などを確定させておくことが必要です。慈善団体にもいろいろあるので、どこか、はっきりさせておかなくてはいけません。死後支払うべき経費には、借入金の残金、医療費、税金、葬儀費用などを加えることもあります。
遺言執行者は、未成年者と破産者はなることができないとされています。相続人でも良いですが、専門家に依頼した方が安心だろうと思います。遺言書の中で「Aを遺言執行者に指定する」と記載するのが一般的ですが、遺言執行者が指定されていない場合やなくなった場合は、利害関係人の請求によって、家庭裁判所が選任します。
民法では、遺言執行者には、遺言を執行するために必要な一切の行為をする権限があるとされており、不動産の所有権移転登記などの行為ができます。清算型の遺言では、遺言執行者が遺産を売却し、借入金などの返済や売買経費などを支払い、残りを分配します。
単に誰に何を譲るという内容に比べ、複雑になるかと思われますので、専門家に相談のうえ公正証書遺言で作成することがよいでしょう。