遺言書に係わる紛争を防止するために③
遺言書があっても、相続時に問題が生じる具体例の続きです。
②遺言執行者が指定されていない
遺言執行者は、遺言の中で指定しておくことができます。また候補者がいないときは、利害関係人から家庭裁判所に請求して、遺言執行者を選任することができます。
遺言執行者は法律上、相続人の代理人とみなされます。遺言執行者ががなくても一部の手続を除き、相続人が遺言の内容を実現することが可能ですが、手続を円滑に進めるためには、遺言執行者を指定しておく方がよいでしょう。
民法第1013条は遺言執行者がある場合には、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできないとしており、判例でも遺言執行者がある場合に相続人がした財産の処分行為を無効としたものがあります。
そもそも遺言書は相続人間の争いを避けるため、被相続人が作成することが多いはずです。遺言書に反した遺産の処分などを相続人にさせないためには遺言執行者を定めておくのが良いでしょう。