代襲相続に関して実際にあったお問い合わせから
まず、代襲相続とは、被相続人の子Aが相続開始時にすでに死亡している場合に、その死亡したAの子BがAに代わって相続する制度です。
お問い合わせのあったのは、「代襲相続人が、被代襲者の相続について放棄をした後に被相続人の遺産を相続することができるんでしょうか?」という内容でした。
祖父A、父B、子Cという家族関係で
1.Bが死亡
2.CがBの相続放棄
3.Aが死亡
この場合、CはBの権利義務の承継を放棄したので、Bに代わってAを代襲相続する権利も放棄したとも考えられそうで、お問い合わせのポイントはまさにその点にありました。
下級審ですが、この点について判断がされており、Cは,Bの相続放棄をしたとしても別の相続(Aの相続のこと)にあってはBを代襲して相続人となることができるので(山形地裁平成17年3月15日判決),Aの遺産を取得することができます。
参考までによく似た次の問題を考えてみましょう。
祖父A、父B、子Cという家族関係で
1.Aが死亡
2.Bが死亡(BはAの相続について承認・放棄をしていない)
3.CがBの相続放棄
Aが死亡してBが相続人となり,Bが相続の承認や相続放棄をしないまま死亡した。この場合CはAの相続(1次相続)とBの相続(2次相続)の二つの相続をすることになります。代襲相続とは状況が異なります。
Aが死亡し,Bが相続放棄をすることができる期間内に相続の承認・放棄をしないまま死亡し、その後、CがBの相続放棄をした場合,CはAの相続について承認・放棄をすることができなくなります。