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相続人のなかに行方不明者がいる場合の遺産分割について(遺言書が無い場合)

カテゴリ: 相続(遺産分割),遺言 2013/06/02

トラブルになりがちな事例としてあげていますが、遺言書があった方が良いこのケースについて、もう少し詳しく見てみましょう。

遺言書が無ければ次の様な手順を踏むことになります。

A)行方不明から7年経過している場合
行方不明になってから7年経過していれば、行方不明者の配偶者や兄弟姉妹が家庭裁判所に「失踪宣告」を申立て、行方不明者は死亡したものとみなしてもらうことも出来ます(子供がいない場合)。失踪宣告が認められると、行方不明者以外の相続人で遺産分割をすることになります。

B)行方不明から7年経過していない場合
行方不明から7年経過していないため失踪宣告がされていない場合は「不在者財産管理人」を選任する必要があります。選任された財産管理人は、行方不明者の代わりに遺産分割協議に出席し、そこで分割された財産を管理します。財産管理人は、行方不明者の配偶者や兄弟姉妹など遺産分割に関して利害関係を持つ人が、家庭裁判所に申立をして選任されます。

①不在者財産管理人の選任

不在者の財産管理人の申立がされると、家庭裁判所は不在者の状態を調べた上で、不在者財産管理人を選びます。財産管理人には、遺産分割に利害関係を持たない人が選ばれます。

②遺産分割協議

行方不明者の代わりに財産管理人が遺産分割協議に参加します。遺産分割協議を成立させることは処分行為にあたるため、家庭裁判所の許可が必要となります。行方不明者の取得分は法定相続分になることが一般的です。財産管理人は行方不明者の取得した財産を預かり、税金の支払などをした後、行方不明者本人が現れるまで管理することになります。

③財産の行方

不在者財産管理人が将来にわたって永久に財産管理をすることはできません。行方不明から7年を待って、財産管理人や行方不明者の配偶者または兄弟姉妹らが家庭裁判所に失踪宣告の申立をし、不在者財産管理人に管理されていた財産が相続できることとなります。

行方不明者がいる場合の遺言書の有効性

相続人の中に行方不明者がいる場合、これだけの大変な手続をすることになります。

自分が亡くなったときの相続人の中に行方不明者がいる場合、行方不明者以外の人に相続させる遺言書があれば不在者財産管理人を交えた遺産分割は不要です。

心当たりのある方はご一考下さい。

相続手続に係わる戸籍を集める作業って本当に大変です!

カテゴリ: 日々の業務から,相続 2013/05/31

遺産分割協議や、預貯金の解約などの手続きの際、亡くなった方と相続人との関係を証明するために必要な戸籍類ですが、この取得には思っているより手間と時間がかかることがあります。
相続人を確定するための被相続人の出生から死亡までの戸籍等の証明書類の種類には戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、戸籍の附票があります。

被相続人の最後の本籍地と筆頭者を調べ、最後の戸籍謄本を取得します。(被相続人の入っていた戸籍の全員が死亡若しくは結婚などで全員除籍されている場合は除籍謄本になります)
次に取得した戸籍謄本または除籍謄本から、他の本籍地から転籍したのか、それとも結婚してできた戸籍なのかなどを確認します。

 

従前の戸籍がある場合、その戸籍を取得します。他の本籍地から移ってきている場合は、その本籍地の市区町村役場へ請求します。

 

この作業を繰り返し、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類の収集を行います。

全ての戸籍謄本類が揃ったら、相続人を確定します。相続人が確定したら、相続人の戸籍謄本を取得します。
相続人が亡くなっている場合は、その相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本類と、そのまた相続人の戸籍謄本が必要になります。

 

亡くなられている相続人の戸籍の収集方法は、被相続人の場合と同じです。

 

 

これらをご自分でするなら、
・役所に出向いて取得する場合、戸籍の交付手続きは市町村の役所が開いている平日に行かなければなりません。

・転籍していた場合、転籍先の役所へ出向くことになります。

・遠方の役所への戸籍収集のための郵送手続も、当該役所に確認を取りながらになります。

・遠方の役所での戸籍収集が必要な場合には、窓口で支払うべき費用は「小為替」を利用することになるため、郵便局の空いている時間に行かなければなりません。

・数次相続(以前に亡くなった方の相続手続をせずに放置し、新たに亡くなった方と一緒に相続手続をすること)では、さらに相続人関係が複雑化します。

大量の戸籍が必要となるのは高齢の兄弟が相続人になるようなケースや数次相続になるようなケースです。戸籍の量が大量のうえ、戸籍が作られた時期自体も古く毛筆で書かれていたり、古い法律で作成されていたりして読み解くだけで大変な作業となります。

戸籍収集って大変です!

相続人のなかに認知症などで判断能力が低下している人がいる場合の遺産分割について

カテゴリ: 相続(遺産分割) 2013/05/16

認知症などで判断能力が低下している人が相続人に含まれている場合に遺産分割協議を行うケースは今後増えてくるものと考えられます。このようなケースでは、判断能力が低下した人の財産管理を行う「成年後見人」が本人に代わって遺産分割協議に参加することになります。

但し、成年後見人が好き勝手に判断してすることは許されておらず、あくまでも本人のことを第一義に考えたうえで、遺産分割協議を進めていくことになります。(成年後見人には善管注意義務が課されています) 最低でも法定相続分は確保するよう求めることになります。 また、親や子、兄弟姉妹が後見人になっている場合は、後見人と本人(被後見人)がともに相続人となってしまう事があります。

そのような場合には後見人が本人に代わって遺産分割協議を行う事は出来ません。

後見人と本人(被後見人)がお互いに利益相反関係となりますので、後見監督人がいる場合を除き、後見人とは別に特別代理人を選任する必要があります。

相続人のなかに未成年者がいる場合の遺産分割協議について

カテゴリ: 相続(遺産分割) 2013/05/15

相続人の中に未成年者がいる場合、その未成年者は遺産分割協議に直接参加することはできません。未成年者の親権者が、未成年者の法定代理人として遺産分割協議をすることになります。

未成年者の親権者が、未成年者の法定代理人として遺産分割協議をすることになります。しかし、親権者と未成年者の双方が相続人になる場合には、親権者と未成年者の利益が相反してしまいます。このような場合、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申立て、「特別代理人」が遺産分割協議をします。

このような場合、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申立て、「特別代理人」が遺産分割協議をします。例えば、夫が亡くなられた場合に、その妻と子供(未成年者)が相続人ならば、子供の特別代理人の選任を申立て、妻と特別代理人で遺産分割協議をします。未成年者の子供が2人いる場合は、各々に特別代理人をたてて、妻と特別代理人2人の合計3人で遺産分割協議をします。(ひとりの特別代理人が2人の子供を代理することはできません)

未成年者の子供が人いる場合は、各々に特別代理人をたてて、妻と特別代理人人の合計人で遺産分割協議をします。(ひとりの特別代理人が2人の子供を代理することはできません)
ちょっと意外な感じがしますが、遺産分割協議の際にまだ生まれていない胎児についても「特別代理人」を選任することになります。

特別代理人を選任しないで遺産分割協議があった場合は、無権代理行為により遺産分割協議がなされたこととなります。

相続の承認・放棄の熟慮期間の起算点は?

カテゴリ: 相続放棄 2013/05/10

相続の承認・放棄は、相続人が「自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内に」しなければなりません。これを熟慮期間といいます。

相続放棄や限定承認はこの熟慮期間内に家庭裁判所に申述することによって行いますが、この期間内に相続放棄や限定承認をしないと、単純承認したものとみなされます。

この熟慮期間は「相続の開始があった時から」ではなく、「相続人がこれを知った時から」起算します。

たとえば、先順位の相続人が放棄したために後順位の者が相続人となった場合は、後順位の相続人の熟慮期間の起算点は、先順位の相続人が放棄した事実を後順位の相続人が知ったときから起算することになります。

なお、被相続人の財産の調査に相当な時間が必要であり、3か月の熟慮では足りないような場合には、家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申請することができます。

外国籍の人が亡くなった場合の相続手続は?

カテゴリ: 相続 2013/05/09

外国籍の方が亡くなり相続が発生した場合。

どこの国の法律が適用されるのでしょうか?  日本における外国籍の方の相続手続については「被相続人の本国法」によって処理すると定められています。

したがって、外国籍の方が亡くなった場合は、亡くなった方の国の法律で相続の手続きが進められることになります。

日本における外国籍の方の相続手続については「」によって処理すると定められています。したがって、外国籍の方が亡くなった場合は、亡くなった方の国の法律で相続の手続きが進められることになります。

例えば韓国籍の方が日本で亡くなった場合には、韓国法が適用されます。韓国法は、相続の順位や相続分が日本の法律と異なることを踏まえた上で相続に関する手続を進めていくことになります。

親が存命中に相続放棄をすることができるのでしょうか?

カテゴリ: 相続放棄 2013/05/07

親が多額の借金を抱えているので、今のうちに相続放棄したい。

これはできません。

相続放棄は、誰かが死んで発生する相続権を放棄することであり、誰かが死なない限り相続権は発生することはありません。

したがって、相続権がないのに、生前に相続放棄することはありえないのです。

家庭裁判所は、誰かが死んで初めて、相続放棄の書類を受理します。

また相続放棄は、親子関係を断ち切るものではありません。

親子間で相続放棄を成立させても、法律上は親子であるこのに変わりありません。

相続放棄とは、財産の受け取りや借金の支払い義務を放棄することです。

相続放棄はあくまで財産についての問題です。

親子である、夫婦である、という身分関係をなくすことはありません。

葬儀費用に亡くなった人の預金をつかってしまっても相続放棄できますか?

カテゴリ: 相続放棄 2013/05/01

相続放棄をする人は、亡くなった人の相続財産を処分してはいけません。
通常、銀行の預金は預金をしている人が亡くなると入出金をストップされます。しかし、葬式代を亡くなった人の預金から出すことを認めている金融機関も多くあります。  では、亡くなった人の預金で葬式代を支払った後、思いがけない多額の借金が発覚したりして、相続放棄をしたいと思った場合、相続放棄をすることはできるのでしょうか?

民法では「相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき」には、相続放棄ができなくなる(民法921条1項)とされています。

預金を使って葬儀を行った場合、「相続財産の処分」にあたるため、相続放棄ができないこととなりそうです。

下級審の判例では、「被相続人のお金を葬儀費や墓石の購入費用にあてたことは単純承認とはならない」としたものもあります(大阪高裁平成14年7月3日決定)

この判例からすると、亡くなった人の預金から身分相応な葬式をしても、相続放棄ができそうにも考えられます。

相続放棄をしましたが、生命保険金は受け取ることができますか?

カテゴリ: 相続放棄 2013/04/24

相続放棄をしても、相続人が受取人となっている生命保険の保険金は受け取ることができます。

判例で「生命保険は相続財産ではない」とされています。

実際に生命保険会社は、相続放棄と関係なく生命保険金を支払いをします。

生命保険金のことを考えて、相続放棄を迷うことはありません。

生命保険金は受け取り、他の相続財産・相続債務については相続放棄をすることは可能です。

※受取人が被相続人(亡くなられた方)となっている保険契約の場合は相続放棄をすると、相続人は受け取ることができません。

代襲相続に関して実際にあったお問い合わせから

カテゴリ: 相続 2012/09/05

まず、代襲相続とは、被相続人の子Aが相続開始時にすでに死亡している場合に、その死亡したAの子BがAに代わって相続する制度です。

お問い合わせのあったのは、「代襲相続人が、被代襲者の相続について放棄をした後に被相続人の遺産を相続することができるんでしょうか?」という内容でした。

祖父A、父B、子Cという家族関係で

1.Bが死亡

2.CがBの相続放棄

3.Aが死亡

この場合、CはBの権利義務の承継を放棄したので、Bに代わってAを代襲相続する権利も放棄したとも考えられそうで、お問い合わせのポイントはまさにその点にありました。

下級審ですが、この点について判断がされており、Cは,Bの相続放棄をしたとしても別の相続(Aの相続のこと)にあってはBを代襲して相続人となることができるので(山形地裁平成17年3月15日判決),Aの遺産を取得することができます。

参考までによく似た次の問題を考えてみましょう。

祖父A、父B、子Cという家族関係で

1.Aが死亡

2.Bが死亡(BはAの相続について承認・放棄をしていない)

3.CがBの相続放棄

Aが死亡してBが相続人となり,Bが相続の承認や相続放棄をしないまま死亡した。この場合CはAの相続(1次相続)とBの相続(2次相続)の二つの相続をすることになります。代襲相続とは状況が異なります。

Aが死亡し,Bが相続放棄をすることができる期間内に相続の承認・放棄をしないまま死亡し、その後、CがBの相続放棄をした場合,CはAの相続について承認・放棄をすることができなくなります。

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